口コミでは好評のJ-REITについて、その実態を解説します。
J-REITとは不動産投資の投資信託で、市場から集めた資金をもとにさまざまな不動産に投資をし、賃貸収入や売買から生まれる利益のほとんどを投資家に分配する投資商品のことです。
株式と同じように東京証券取引所に上場しているため、購入手続きや売却手続きをいつでも手軽に始めることができる不動産投資として、制度開始以来、大変な人気を誇っています。
銘柄にもよりますが、株式に比べてJ-REITのほうが分配金(株式で言う配当金)は高めで、なおかつ値動きが激しくないということが、J-REITの人気を支えているようです。
運営側は、利益の90%超を分配するなど、一定の条件を満たすことによって税制上の優遇が受けられるため、運営側と投資家側がともにwin-winの関係になると言われています。
J-REITが始まった2001年以来、J-REITの価格は6年ほど順調な上昇が続きました。そのため、一時は「J-REITは値崩れを起こさない」との神話さえ生まれましたが、のち暴落。1年半でJ-REIT指数は1/4程度まで値下がりしました。
株式に比べれば元本の安全性は高いと言われていますが、このように、時には株式よりも大きな暴落があるので注意したいところです。
J-REITは、投資の世界で一時期は安全神話までささやかれていた投資商品です。だからこそ、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻は、J-REITを利用する人たちにとって非常に大きな衝撃となりました。
J-REITの投資法人のなかで、初めて破綻したのがニューシティ・レジデンス投資法人です。
まずは、ニューシティ・レジデンス投資法人がどういう投資法人なのかを抑えたうえで、なぜ破綻したのかという事情を追っていきましょう。
ニューシティ・レジデンス投資法人は、アメリカの不動産会社である「CBRE(シービー・リチャードエリス)」の傘下企業が中心となり、日本のJ-REITに参加するために設立されました。
2004年9月27日の設立以来、豊富な資金力を活かして東京周辺の賃貸物件を運用し、2008年の破綻まえには2,118億円相当、106件もの不動産を所有していたとされています。そんなニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法の手続きを行い、正式に破綻を迎えたのは、2008年の10月9日です。
ニューシティ・レジデンス投資法人が破綻した理由は、簡単にいうと物件を買うためのお金が用意できなかったからです。
具体的には、2008年の10月に購入を予定していた、池袋にある277億円のタワーマンションを購入するための資金が足りなかった、同じく10月に予定していた、借入金の借り換えができなくなったためとされています。
契約を解除するにしても、資金不足が理由なら50億円前後の違約金を支払う必要があり、この資金を用意できなかったことも原因といえるでしょう。
購入予定の物件は、JR池袋駅西口から徒歩2分のタワーマンション、「ニューシティレジデンス池袋プレイシャスタワー」でした。なお、この物件はニューシティ・レジデンス投資法人が破綻したあと、他の企業が取得して「ウェストパークタワー池袋」に改名されています。
ニューシティ・レジデンス投資法人が、「ニューシティレジデンス池袋プレイシャスタワー」の購入資金を用意できなかった理由は、2つあります。
1つは、J-REITの性質上、会社に内部留保がほとんどなかったこと。
2つめは、当時サブプライムローン問題とリーマン・ショックで世界的な金融不安が起きており、借り入れや株式の発行による資金調達が難しかったことです。
J-REITは、集めた投資を使って不動産を購入し、資産運用することで利益を出します。集めた資金に応じて利益から配当を出さなければならないため、ニューシティ・レジデンス投資法人は、資産こそあっても社内に現金を蓄えていませんでした。
また、2007年から始まったサブプライムローン問題と、そのあおりを受けて発生した2008年のリーマン・ショックによって、世界的な金融不安が起き、金融機関の貸し渋りが起きていたことにも影響されました。
J-REITは、2001年の9月に始まって以来、2007年の5月までひたすら上昇を続けていました。しかし、サブプライムローン問題を受けてから、国内外の投資家がJ-REITを買うのではなく、売る方向にシフトしたため、一気に価格が下がり、市場からの資金調達も困難になってしまったのです。
結果として、ニューシティ・レジデンス投資法人は現金を用意する方法がなく、破綻しました。 投資の世界は、何が起きるかわかりません。絶対に安全な投資商品がないからこそ、どの投資商品に投資するかを吟味する必要があります。
ただ、J-REITに関していえば、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻を受けて、物件の購入代金ぶんは内部留保として用意しておくなど、当時より各投資法人のリスクマネジメントは向上しています。往時に比べて勢いは落ちましたが、それでも安定性の高い投資商品といえるでしょう。
不動産で経営や直接投資を行う場合、利益も出ますがどうしても不動産を運用していくためのコストがかかります。
例えばあなたが不動産としてマンションを持っていて貸し出す場合、マンションの借り手を探すための宣伝広告や、マンションの状態を保つための維持費がかかります。しかしJ-REITの場合、投資信託を行なっている方はこれらの負担を一切追うことなく、不動産の専門家が全て請けおってくれます。
そのことから不動産に対して投資をするだけで、あとは配当を待つだけなのです。
もし不動産投資のためにマンションを購入するとなると、たとえ中古マンションであっても1,000万円以上の初期投資になってしまうでしょう。しかしJ-REITならば上記でも少し話しましたが、一口あたり10万円程度から投資ができるのです。
それでいながらJ-REITは利益の90%以上を投資家に配当すると、法人税が免除になるため投資家に多くの配当金が流れる仕組みになっているのです。
不動産ということは、一番のリスクが突然の災害。不動産が災害により被害を受けると、その不動産自体の価値は下がってしまい投資信託にも大きな影響をもたらします。
世界的に見ても日本という国はとくに、地震や台風、近年多発しているゲリラ豪雨など、大きな災害が起こる可能性が高く、不動産投資信託というもの自体リスクが高いのです。
そのことからJ-REITは安定しているとは言い切れません。
投資云々関係なく、不動産というのは価格が下がることもあれば上がることもあります。たとえば今まで辺鄙な土地として評価されていたとしても、都市開発の計画がなされたり、近隣が住みやすい環境になってくると土地の需要が高まって土地の価格も高くなります。逆に昔は需要が高かった土地だとしても、徐々に周りが過疎化していくと、それに伴い土地の価格も下がります。つまり不動産の価値は上下に変動しやすく、予測がつきにくいもののため、投資信託が難しいのです。
J-REITは株投資と同じように、不動産を持っている法人(会社)に投資を行うようなものなので、倒産というリスクはつきものです。不動産を持っている法人自体の経営が悪くなり、結果的に倒産してしまったら投資信託自体も終わりを迎えます。
J-REITは投資家が不動産や法人に対して手を加えることはできないので、負債を抱えることになってしまいます。
株式とは違った値動きをするので、リスク分散の意味でJ-REITを保有しています。利回りは悪くありませんが、以前より過熱感は指摘されています。
毎月の分配手数料を都度取られるのは仕方ありませんが、これからの運用に期待が出来そうなので、続けています。