記憶に新しい、平成以降に破綻した投資商品を3つピックアップして紹介しています。
投資商品が破綻したというニュースは、不況が続く中では時々見かけるもの。その中でも、特に連日ニュースで報じられた大規模なものを紹介します。
どの投資商品も、運用当初は出資者への配当が高配当であるなどの理由で、非常に人気が高いものでした。最初の頃は満足している人が多く、それゆえにどんどん会員が増えて、規模が大きくなっていくわけですね。
ただ、それだけ大きな出資を集めているにも関わらず、経営や商品管理が杜撰だったり、会計監査を受けていないなど、決算に関してもずさんである場合が多いことが特徴的です。
近年でも特に記憶に新しいのは、安愚楽牧場の破綻。いわゆる和牛預託商法と言われるもので、繁殖母牛に出資し、毎年生まれる子牛の売却代金で高い配当が期待できるというタイプの商品でした。
2011年に民事再生法の申請をしましたが、その時の負債総額は4,330億8,300万円ととても巨額。さかんに、テレビCMや雑誌に広告を出していたこともあり、出資者が集まることで、自転車操業ができていたのでしょう。
その他、円天などワイドショーを賑わせた事件を紹介しながら、危ないケースをみていきます。
1981年に事業をスタートした和牛預託商法最大手の畜産会社。出資者が和牛のオーナーとなり、毎年生まれる仔牛を売却することで多額のリターンを得る仕組みを構築。著名人を広告塔に起用するとともに、大手広告代理店を通じてテレビCMなどを積極的に放映することで多数の投資者を集めました。
安愚楽牧場が破綻したのは2011年のことです。2011年8月の民事再生法適用申立時点で、負債金額は4,330億8,300万円、被害者数は7万3,356人。和牛預託商法最後の砦といわれた安愚楽牧場はなぜ破綻したのでしょうか。調査により明らかになった安愚楽牧場の杜撰な経営管理などを詳しく解説します。投資を検討している方は、多くの被害者を出した安愚楽牧場事件から学びを得ておきましょう。
日本ではあまり知られていないMARS投資。MRIインターナショナルというアメリカの法人が展開していました。MARSとは診療報酬請求債権のこと。アメリカの法人が展開していたことからわかる通り、ここでいう診療報酬債権はアメリカにおけるものです。医療制度の違いなどから、アメリカでは診療請求書自体が債権として扱われています。
MRIインターナショナルは、1998年から商品の販売をスタートします。有名人や大手メディアを利用した巧みな広告戦略で1,300億円もの資金集めに成功します。しかし、アメリカで商品を販売していないなど、販売当初から信頼性に疑問を抱かれていました。その後、でたらめな経営が次々と発覚。2013年に被害弁護団が結成されるに至ります。MARS投資にはどのような問題点があったのでしょうか。また、被害者の救済は進んでいるのでしょうか。詳細を解説いたします。
円天とは、L&G社が発行していた疑似通貨のこと。仮想通貨が普及していない時代に多くの出資者を集めた理由は高額配当を謳っていたから。「10万円を預けてあかり会員になれば、1年ごとに預けた金額と同額の円天を受け取ることができる」と謳われていました。もう一つのからくりがマルチ商法システム。新たな出資者を紹介した紹介者に配当を渡すことで、どんどんと出資者を増やしていきました。
このようなシステムが永続するわけはなく、2007年には配当を円天で渡すことに。同年には、保証金の返還を求めて裁判が起こされます。問題が表面化したことで警視庁から出資法違反容疑で捜査が入ることとなり、社会問題化しました。
今から思えば明らかにおかしい「うまい話」になぜ多くの方が飛びついたのでしょうか。その理由とL&G社の破綻後を解説します。投資先を慎重に選びたい方は確認しておきましょう。
かぼちゃの馬車は、株式会社スマートデイズが販売していた女性専用シェアハウスです。多くの投資家を集め急拡大を遂げましたが、2018年5月に破産手続きを開始することが決定しました。かぼちゃの馬車はどのようなビジネスモデルだったのでしょうか。また、どこに問題が生じて破産手続きを開始するに至ったのでしょうか。女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」が破綻に至った経緯を解説します。怪しい投資商品の一例として参考にしてみてはいかがでしょうか。
続いて、その他の破綻した投資会社ならびに投資商品を紹介します。
電話やインターネットなどで、米国のカジノ事業への投資を持ちかけていたアムルジャパン。1993年からの7年間で、数百人から約49億円もの資金を集めました。これだけ多くの資金を集められた理由は、常識では考えられない配当を謳っていたから。アムルジャパンは、元本を含む2.0倍~2.5倍の高配当を約束することや投資したお金が何倍にもなると説明して資金を集めていたようです。当然、これほどの高配当が得られることはありません。それどころか、配当金を一度も受け取れなかった方もいるそうです。出資者からの苦情が相次ぎ、警視庁が捜査に乗り出すこととなりました。その後、幹部が国外へ出国。一時帰国したタイミングで逮捕されています。
押し花の製作・販売を行っていたフラワーライフ。併せて行っていたのが、押し花レンタル事業への投資の勧誘。雑誌の広告枠などを活用して「実績豊富で仕事を斡旋できる」「フラワーアーティストになれる」などと謳い投資者を集めていました。勧誘の結果、集まったのが約2,300人の投資者と約60億円の資金です。これだけ多くの投資者と資金を集められた理由は高額配当を謳っていたから。投資額の5~6%を3年間にわたり毎月配当するなどと謳っていたそうです。もちろん、これほどの配当を支払い続けることはできません。自転車操業状態に陥っていたのとこと。最終的には経営破綻し、出資詐欺事件となっています。
健康食品の販売を手掛けていたロイヤルフーズ。併せて行ったのが、輸入ワイン販売事業などへの投資の勧誘。首都圏を中心に約1,000人から60億円もの資金を集めています。資金集めのエサとして利用していたのが、出資者を無料で招待する芸能人のパーティー。また、「必ず儲かる」などの説明もなされていたそうです。残念ながら適正な運用は行われていなかったようで、2015年頃から支払いが滞るようになります。その後、社長らは資金をだまし取った疑いなどで逮捕されています。
以上などが、破綻した投資商品として知られています。いずれも勧誘時に「うますぎる話」がなされていたようです。「うますぎる話」には裏があると考えたほうがよさそうですね。
投資商品の破綻による被害を受けたくない方は、怪しい商品の購入をできるだけ避けましょう。怪しい商品の多くはポンジ・スキームと呼ばれる仕組みを採用しています。ポンジ・スキームとは、集めた資金を運用して利益を還元すると謳っておきながら、実際は運用をほとんど行わず別の出資者から集めた資金を配当金として渡す仕組みです。通常の運用ではありえない利回りが設定されている商品や毎月のように配当金が支払われる商品、新規出資者を紹介した紹介者に支払われる配当が異常に高い商品などは注意するべきといわれています。
破綻の前兆を見極めることも被害を避けるためのポイントとして挙げられます。基本は、投資会社の財務状況を把握しておくことが重要です。財務状況を把握できない場合は、次の点をチェックするとよいかもしれません。
破綻前の前兆として挙げられるのが、配当の支払いが遅れることです。これまで期日に支払われていた配当が支払われなくなった場合は注意が必要です。あるいは、支払方法が変更になった場合も注意が必要です。例えば、円天は経営状況が悪化すると、配当の支払いを現金から円天に変更しています。これらの状況に陥った投資会社には、配当に回せるお金がないと考えられます。切羽詰まった状況にあるかもしれません。
配当の支払いが遅れる一歩手前の状態として挙げられるのが、以前より多くの出資を求めてくることです。何かしらの理由をつけて多額の出資を求めてくる、新規出資者を紹介するように執拗に求めてくるなどの場合は注意が必要かもしれません。悪意のある投資会社が、配当に回すお金を集めている可能性があります。
広告の出し方も、投資商品の健全性を図る物差しとして利用できます。以前と比べて、広告宣伝費が明らかに減っている場合は経営状況があまり良くない可能性があります。真っ先に削られることが多い経費だからです。ただし、悪意のある投資会社の場合、経営危機に派手な広告をだして多くの資金を集めようとすることがあります。その場しのぎの資金を集めるためです。この点には注意しましょう。
外から把握することは難しいですが、投資会社の経営陣が辞めていく状況にも注意が必要です。見切りをつけて、退職している可能性があるからです。投資会社と距離が近い場合は、上層部の動向をこまめにチェックするとよいかもしれません。
以上の前兆などを確認した方は、投資商品の破綻や投資会社の倒産に注意が必要です。必要な対策を講じましょう。